wataiguinca × izuminnyuraly


prototype for φ



11.02.26 at London English Tea Room

交換する文章2篇


嘘に名前をつけてあげた
あなたには教えてもいいと思う。

ほとんどつながっているようでいて
わずかなすき間から抜けた底はもっと浅い
落下してたどりついた場所はエレヴェータの地下7階だった
扉が開くと目の前には海が広がっていた
ぎんいろのかぜ
家具の並びのなかの観音開きのクローゼット
クロゼットのドアーに浮き出ている鎖骨
誰も話さない
クロゼットは勿論のこととして、棺である
旧くからの比喩表現の習いとして
長い廊下を歩いて大きく迂回する
出逢ったことに、セップンを、セッピンを、セップンを、セップンを、おくります。
10回。もっと。そうやって。
天井の染み


(無題、又は「マック・ソネットへのオマージュ」)

ベビーベッドの柵をゆらす 子どもの服は赤い
マットレスの下衣装ケースは 頭のなかに続きがあるひとつ欠けている
生まれる前に24枚の服が用意されていたことを
子どもは本能で知っている
靴はない、生まれる赤子は歩けないからだ
かりかりの夢
聞こえなかったよ
感じない物は、音ではなく、ぴんく色になるからね
だからね
洗面器に浸ける
こすり洗いをする
白身は剥く
青い実は口に、花は目に
取手のついたつぼを伝う
飴上になって

あたしの略歴(プロフィール)はこの通りです
憶えておいてね、もうすぐ逢う、ママへ
敬具  あなたのベィビ



(「履歴」)



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