過去の結果

▼9月1週

名古屋×-○香川
4点

お題
明日の服は何にしようかな、
と思った。

本当は最初から知ってた
ノートに書かれたカラフルな名前を盗み見して
渡り廊下で踊る君を見ていた

蛍光灯があんなにも眩しいと思ったのは初めてで
だから、憧れた

親しくなるのは簡単だった
懐く私を快く可愛がってくれた
近づくにつれて2人で過ごすことは当たり前になった

手を繋いで名前を呼んで
冗談を笑って
ラクガキをして踊りに繰り出した

白いシーツ

知れば知るほど憧れは尊敬にかわり愛を知った
いとおしかったから
強くて優しくてしなやかな体を
弱さの見え隠れする心ごと抱き締めた

だけど一枚一枚服を脱がせる度に
裸になるはずが
何もなくなっていった

空白

朝方の絶望
夕暮れの孤独
昼間の虚しさ
全部分かち合いたかった
だけ、だったのに

ただ、それだけだったのに

何一つ間違えることの出来なかった愚かな私たち

無機質に響く待ち合わせのメール
電子音のやりとり
最後の約束を紡いで
最後の言葉を丁寧に抱えながら

明日の服は何にしようかな、
と思った。


あさっての服は何にしようかな、と思った
しあさっての服は何にしようかな、と思った
クローゼットの洋服をありったけ思い出して
一か月分をコーディネート どんな組み合わせもできるはずなのに
買ったばかりのTシャツがいつも最後に残った
ただの青いTシャツなのに どう着たらいいのか分からない
胸のあたりの刺繍が そぐわないような気がして 少しだけ後悔

きみの背中に近づく かすかな寝息 秒針の音と少しだけずれて
これぐらいの幸せがちょうどいい 誰かが言ってたような気がする
少しでも動いたら 何かが変わってしまうような気がして
なるべく体を動かさないように 頭にはさんだ両手と軽く曲げた右足
満足して目をつぶると いつも見えてくる同じ風景
黒い面に虹色のドット 黄色いリボンがぐるぐると円を描く
時代遅れのディスコに 連れていかれるように
かすかに聞こえる犬の遠吠えと ぶるるんと帰宅するバイクのエンジン

(先攻・名古屋)e.R.i.51-(後攻・香川)Pookie Diamond

審判評:
総評的なものをまず少し。
お二方とも、私の考えた文章につなげて、
詩(と私は解釈しましたが・・・)を書いて下さってありがとうございます。
お題がお題なだけに、恋愛が統一テーマになりましたが、
前半は出会いから別れ、後半が幸せの最中、と
対照的な文章が並んでいて面白かったです。

ただ、詩というジャンルの言葉の使い方を
あまり理解していない私が言うのもおこがましいですが、
お二方とも、言葉のインパクトに欠ける、という印象を受けました。
恋愛は人生において、最も心が揺れ動く出来事のうちの一つです。
それを表現するには、もっと鋭い表現を用いてみてもよいのではないでしょうか?
ジャンルは違いますが、恋愛についてオススメのものをいくつか紹介します。
もし、興味をお持ちになったら触れてみて下さい。

音楽→DREAMSCOMETRUE
赤裸々な表現が、ストレートに心に響いてきます。
アルバムなら、『SING OR DIE』の月光という曲がオススメです。

小説→村山由佳
こちらも、読んでいてかゆくなるくらい、表現がストレートです。
恋愛モノのオススメは『天使の卵』です。

マンガ→高河ゆん
この作家が一番オススメです。
恋愛における様々な心の機微を、
鋭い表現(セリフ以外のフレーズを生かして)で現しています。
『アーシアン(一迅社)』がオススメです。


表現の世界というのは、とてつもなく広いものです。
様々なジャンルを、自分の表現の糧にするのもよいのではないでしょうか。

→前半の方へ
華々しい出会いから、悲壮感漂う別れまで、
カラフルに表現されていると思います。
ただ、全体を通して、雑多な表現が多いと感じました。
抽象的な表現や漢字を用いることで、
面白みを出そうという意気込みは感じられるのですが、
結果として、何を表現しているのかということや、
ストーリー自体が、わからなくなっています。
このフレーズはいらない、と思うフレーズもあります
。 まずは、平易な表現を用いることを勉強して、
そこから、少しずつ色をつけていく、
という段階を経た勉強をしてみてはいかがでしょうか?

→後半の方へ
日常生活のなかから感じられる幸せ、が
読み手によく伝わってきて良いと思います。

ただ、前後半が無理につなげた感じは否めません。
お題につなげる、という難しさはあるでしょうが
そこがスムーズだったら、と思います。

では、お疲れさまでした!次回作、期待しています!

-審査員:遊星

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