私の名前は美菜です
お店ではみるく
私は三歳の夜に泣き出して
布団叩きで打たれました
私は六歳の夜に
両親のセックスを覗きました
布団叩きで打たれました
私は九歳の夜に
母の財布から300円盗りました
布団叩きで打たれました
私は十二歳の夜に
キスをしました
布団叩きで打たれました
私は十四歳の夜に
そこから先は話したくありません
そこから先は
あること
ないこと
あってほしかったこと
出鱈目に
喋って喋って喋って喋って喋って喋って
喋って喋って喋って喋って喋って喋って
喋って喋って喋って喋って喋って喋って
今日は終わりにしてください
私は十六歳の夜に
海を目指して歩きました
私は十六歳の夜に
plastic treeの有村竜太朗と結婚しました
私は十六歳の夜に
ガソリンを撒いて
家に火をつけました
私は十六歳の夜に、
知らない人のバイクで
旅にでました
知らないバイクの ハンドルきって
知ってる細工を 足しました
知らない人の 見えない糸を
サイドミラーに 巻きました
いざよいの夜に ちいさなおててで
かぞえ年の実を 食べました
この先すすんだ 豊かなばしょで
お月さまの目が 見えました
街のライトは 後ろへまわって
いつもせなかに おぶさって
風のタワーは またはためいて
かれのお顔に かぶさって
聞こえる音の とどかぬ歌が
クラクションから 消えました
青いちへいが 夕日にしずむの
そして
真っ赤なおそらが 朝日にのぼるの
(先攻・東京)猫道-(後攻・香川)おだみかほ