過去の結果
▼11月1週
| 香川×-○神戸 | |
|
2点 |
|
お題
コサージュの花弁を食べさせて
頭の上に浮かんだ赤く染まった雲を見て、
きみは 美味しそう とつぶやきながら、
ポテトチップスの袋に手を突っ込んでは、
すき、きらい、すき、きらい、と言うように、一枚ずつ放り出して、
ひらひらと舞う様子を見ながら、チェシャねこのように笑い、
さらに袋をかき回して、
その手を、ぼくのTシャツで拭こうとするから、
鼻をつまんでやったら、みー と鳴いてジタバタとした後、
落ち込んだ振りをするので、
25年前のドクター・メルリの発見の話をしたら、
空の青さを発見したのはわたしよ、
だから四半世紀クラブにはもう用は無いわ と、
核心には触れずに、ぼくの体脂肪を測りだし、
ドクターはドクターでも と言いかけて、
何かを考え込んでいるように見せかけながら、
眼を閉じて、眠った振りをしたきみは言ったんだ
コサージュの花弁を食べさせて
と、16歳の少年が華麗な結婚披露宴の一隅で、若い女性に囁いた。アマリリスブーケコサージュを襟元に付けた彼女は、変なこと言う子ねとは言わずに、「あら、そう。ついでに私も食べてみない?」と言ったので、少年はドギマギしながらも「今夜あなたのお部屋に忍び込むよ」と答えた。少年はブラボーと渾名されていた。いつも街をブラブラしながら、時々棒のように突っ立って、通る若い子に「ブラボー」と声をかけていた。夜になって女の部屋に忍び込むと、壁に飾られている絵に驚いた。絢爛たる芸術を花開かせたハプスブルク家の居城として名高いシェーンブルン宮殿の駿馬の間が描かれていたのだ。ルビーのあるドレスを着たエリザベートが今にもそこに現れそうな雰囲気であった。少年はブラボーと声をあげながら、若い女とベッドに潜り込んだ。
(先攻・香川)茶韋-(後攻・神戸)飛鳥彰
審判評:
前半はコラージュっぽいけれど、コラージュって自己表現としては
難しいと思うの。過不足さ加減で、もう少し原色の無い風景が好き。
後半の疑問点がひとつ。16歳の少年の比較対象として若い女性と云う
ところの年齢差が不明瞭。当たり前に年上だと思うのだけれど、
意外に年下や同い年のお嬢様だったりすると、興味深いですね。
-審査員:灰根子
戻る