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呪詛裁判所にようこそ! |
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「15/30」というタイトルのこの本。 著者・小高まあなさんいわく「30年生きたうちの15年は創作サイトがあった」、 そちらに掲載された作品をまとめた作品集である。 この本について語るにあたり、まず触れなくてはならないのは、 「とにかく分量がスゴイ!」 ということ。 500ページある。 しかもそれが上下巻。 そのうえそれぞれ、2段に組まれているから、単純計算ならさらに倍だ。 文芸同人誌でここまで厚い本は見たことがない。 複数の筆者が参加する合同誌ならまだしも、個人誌ならなおさらだ。 どうして最初に分量について触れたのかというと、 きっとこの本を手に取った誰もがそういう第一印象を持つだろうというのがひとつ。 それともうひとつ、この圧倒的分量を読み終えたときの印象を伝えておきたかった。 その印象をごく簡単にいうなら「読みやすかったな」というものだった。 1000ページ読んだのに、ぜんぜん疲れてない。 とにかく読むことにストレスを感じなかった。 わりあい難解な表現や描写が少なく、文体が素直というのもその一因だろう。 それ以上に、読んでいて「どんどん次が楽しみになる」。 この作品の魅力は「世界」だと思う。 この1000ページは、ひとつの世界でできている。 19作の短中編で構成されているのだが、これらは全て同じ世界のなかの物語だ。 「調律師」の主人公・沙那と龍一が、 「ひとでなしの二人組」の主人公・マオと隆二が、 「中曽根心中」の主人公・ここなと京介が、 それぞれに物語を持ちながら、ときに出会い、ときに離れ、絡み合って進展する。 ひとつの「世界」をいろんな人の視点から見るのは楽しい。 時に辛いものを見て、悲しくもなる。 一緒に笑ったり、泣いたりできる。 それが小説のかけがえのない魅力のうちのひとつだったな、 ということに気づかせてくれる本だった。 そういう本に出会える人生を、幸せと呼んでもいいのかもしれない。 「人生は緑色」という出店者名を思い出して、そんなことを考えた。 この本に掲載されている作品はそれぞれ分冊されて頒布されているので、 どれか気に入った作品の本から買って読み始めるのもいいだろう。 でもできれば、この「15/30」を手に入れてみてほしい。 1000ページを読み終えたとき、きっと君は、少しだけ大切なことに気づく。 それを言葉にはしないが、ヒントは推薦文のなかに忍ばせた。 例えるなら、小説を読む理由みたいなものだ。 | ||
推薦者 | あまぶん公式推薦文 |
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読みたいときに読みたいものが手元にあるのは嬉しいことです。渇望が濡らされてしまう場合もあるでしょうが。 小高さんの小説を何冊か読んで次どれにしよう、何か読みたいけど一つ決めるのが難しいそして次に回して在庫なし再版なしになったらどうしよう、と思っていた時にこれが出ました。買うよね。どうせあれもこれも読むなら収納含めて手間も価格もコンパクトで私にはよい。おかげで買い逃しなく、今読みたいものを手元で探せて便利です。連作だったりあの時の登場人物は今! という作品がよい按配で並んでいます。著者オススメ(なのかどうかはちゃんと分かってるわけではないですが)で読めるのはよい。コンシェルジュ機能搭載ですよ。たぶん……。 軽快な筆致にテンポよく読んでいて、進展で涙腺を開かれる小高節が好きです。 鳥の方の作品に鳥が出てくるのを見つけてクスッとなるのも楽しみの一つかと思います。 ぜひ本棚にお迎えください。ほんとにお徳用ですからね、これ。 | ||
推薦者 | 正岡紗季 |