出店者名 人生は緑色
タイトル 居候と猫の飼い主(ひとでなしの二人組3)
著者 小高まあな
価格 400円
ジャンル ライトノベル
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紹介文
A5(2段組み)/44P/オンデマンド/400円

「俺はね、マオちゃん、約束を破りに来たんだ」
未だに隆二の家に居座る京介。その真意を問いただすマオに、京介は「約束を破りにきたのだ」と答える。
約束の内容は明かされないまま、京介は隆二の前から姿を消す。マオとともに。
「ごめん、隆二。マオちゃんは預かりました」
そんな手紙を残して。
さらに、研究所から実験体の抹消に使われていた、通称『エクスカリバー』をも盗み出していた。実験体、つまり幽霊であるマオを消すことが出来る唯一のもの。
隆二はマオを助けるために、指定された場所へと向かうがーー。

「理解してろよ、意識してろよ。目を逸らすなよ。ちゃんと考えてないとお前、後悔するぞ」

現代だらだらオカルトファンタジーひとでなしの二人組第三弾。

第一幕 居候猫と新たなる居候の現状


 てれっててーと軽快なメロディが部屋に流れる。テレビ画面に流れるスタッフロール。
『はー、今日も君子かっこよかったぁ』
 興奮のあまり浮かし気味になっていた腰をすとん、っとおろしながらマオが呟いた。
 ダイニングテーブルに頬杖をつきながら、隆二はそれを見ていた。
 三十分間のマオのお楽しみタイム、七転びヤオ君子が終わり、
『高嶋くんが、君子の正体に気づきそうになったときは、ドキドキしたわ』
「正体バレるとガチョウになっちゃうもんね」
『そうそう。本当、よかったー。っていうか、高嶋くんのことで君子を脅すなんて本当サイテー! 人の一番痛いところ、弱みに付け込むなんて!』
「悪いよねー」
『でも、高嶋くんと君子の関係はいつ進むのかなぁ』
「んーどうだろうね」
『君子は地球を守ることで忙しいから、恋愛どころじゃないんでしょうね。……でも、どうして君子がいる地域しか襲われないのかな』
「不思議だねー」
『君子がいない場所を狙えば一発なのに。なんていうか、あかさかよね』
「あさはかだね」
『んー、それにしても、君子ってあと何話分ぐらいあるだろう。富子短かったし』
「富子は半分の二十五話しかないからね。でも君子はその分長いから、七十話分ぐらいあるんじゃない?」
『じゃあ、まだまだあるのね!』
「基本、月曜から木曜の週四での再放送だからあと……、ごめん、計算できないけど、まだまだ終わらないよ」
『よかった! 君子まで終わったら寂しいもの』
 マオと京介が今日の君子の感想を言い合う。主にマオの発言に、京介が微笑みながら相槌をうつ。隆二は黙ってそれを見ていた。会話の節々につっこみたい部分が多々あったが、さすがに野暮なのときりがないので自重する。
「っと、こんな時間か。夕飯の買い出し行ってくるねー」
『今日のご飯はー?』
 時計を見て立ち上がった京介に、自分は食べないくせにマオが問う。
「今日は、サクサク衣のジャガイモ揚げ、トマトを添えて、だよ」
 大げさに言っているが、それ、コロッケとかだろ。そう思いながら、隆二は出て行く京介を見送る。
『隆二?』
 テレビも終わり、京介もいなくなり、暇になったマオが隆二の方へ向かってくる。そうして、隆二の顔を覗き込みながら、
『難しい顔してどうしたの?』
 こーんな顔だよ、とぐぐっと眉間に皺を寄せた。
『あ、もしかして、ヤマトいやなの?』