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「ほんとうに、悪かったとは思ってるよ、ぼくだって。なんていうか、最低限の礼儀ってのがあるよね、こういうのって。でも、仕方がないじゃない。だいたい、ぼくは、生まれてこの方、そりゃあハーフだガイジンだって言われて目立ってきたけど、それを隠したいから覆面して戦ってるわけじゃないし、顔を出していないことが卑怯だなんて思ってないよ。でも、あんなふうに言われたんだから少しくらい怒ったっていいじゃない……」 |
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京都の地下格闘場で夜な夜な行われるという妖怪プロレス。 唯一の人間でありながらリングに「あくだま」役として上がる覆面レスラーのペペロンチーノ峯田(まずこのネーミングからおかしい)は胸に貼ったお星さま型のシール通称「乳首ガード」が目印。(この時点で相当面白い) そんな峯田(26歳フリーター、浜麦にしてみれば恋のライバルな相手? のもとに居候中)に思いを寄せるのは、人間年齢では八つ年下のもふもふ白狐の妖怪で「ぜんだま」レスラー(人間の姿では褐色のキュートな美青年)浜麦。 お互いに思いあっていることは明らかなのに、優しい性格も相まってか峯田への想いを告げられない浜麦は勢い余って(?)序盤早々からオークションに賭けられた峯田を落札し、甘い一夜を過ごそうとするのですが……。 恋のときめきもそこに潜むちょっとエッチな気持ちも絶妙なさじ加減でキュートに、時にはらはらどきどきさせながら読ませる展開はキヨムさんワールドの真骨頂。 京都の街で人間と共生しながら生きる妖怪たちとの関わり合い、興行を裏で取り仕切る大人たちの思惑――と、はらはらどきどきの要素を絶妙に散りばめつつ、どうにも締らない二人のもどかしい恋をいつしか応援したくなります。 どこかとぼけた味わいを感じさせるキャラクターの掛け合いは男の子たちならでは。 ボーイズラブの楽しさに溢れた本作は「BL」になじみがない人もきっとひとたび触れれば虜になる、ここでしか味わえない楽しさがぎゅうっと凝縮されたとっておきのエンターテイメントに仕上がっています。 最後にはもちろんとびっきりふたりらしさに溢れたキュートなラブシーンも待ち構えておりますので、どうぞお楽しみに。 | ||
推薦者 | 高梨來 |