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ねえ、ニイチ。元気ですか? |
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17の小説と詩が掲載されているこの本は、とてもリアルで、とても歪でした。 リアルなのは、きっと著者が実際に体験されたことを書かれているせいではないでしょうか。実際に起きたことを書いている匂いがします。 歪なのは、世界そのものであったり、人の一部であったり、心の在り方だったり。 ソヨギという服だったり、白い袋がくらげだったり、花を食べたり、冷凍みかんを書くことだったり、色の捉え方だったり、自転車が落下する絵だったり、他人の家の植木鉢に興味を持ったり…… いえ、それを歪といっていいのか、本当のところはわかりません。 人によってはそれは歪でもなんでもないかもしれません。 ただ、例えば常識とか、社会とか、そういう一般的といわれるものと比べると、歪な気がするのです。 この歪さの正体を辿っていったとき、この本は、物語というよりも、思想のように思えました。 一番強く感じたことは、世界が怖いところであるということ、けれども、やさしくあってほしいと祈っているということ。 2011年、東日本大震災の年に書かれた作品ということも関係しているのかもしれません。 この本に、著者の気持ちに、ふれてほしいと思う一冊です。 | ||
推薦者 | なな |