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あるところに、灯台がいた。 |
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辺境の地にぽつんとひとりで立っている、さびしがりな灯台の話。 灯台の擬人化とでもいうのか、 灯台がにんげんみたいに見たり話したり感じたりする様子を追うのはとても楽しい。 続きが気になって、どんどんページをめくってしまう。 灯台がひとりの男性に見つけられ、じぶんの「孤独」を埋められる最後まで、 一気に読み切ったあとふと気づく。 これはもしかして、すごくさびしい話なんじゃないか。 灯台の擬人化じゃない。その逆なんだ。 灯台の姿は、もしかしたら読者そのものなのかもしれない。 あなたは、さびしがりではないですか? そんなことを尋ねてみたい。 あなたの孤独を埋めるための方法を知っていますか? 訊いてみたい気がする。 この物語を読み終えた、全てのひとに。 灯台にとっての男性のように、 あなたのいる辺境の地まで会いに来て、 「いつもお疲れさま」というあたたかい(!)言葉をかけてくれるひとは、 あなたにはいますか。 そんなことは訊けないけれど。 そもそも、そういう相手に会えることが幸せなのか、不幸なのか、分からない。 だって物語は、いつも寂しいものだと思うからだ。 ただ、もしもそういう人に会えることがあれば、 灯台がそうしたように、レンズの光をすこし強くしてみてほしい。 灯台にとっての光があなたにとって何なのか、 それは読み終えたあとに気づく筈だ。 さびしがりのひとに読んでほしい本。 さびしさを埋めるためではなく、もっとさびしくなるために、読んでほしい本。 | ||
推薦者 | あまぶん公式推薦文 |