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今までで一番真面目なまえがき 2010年の5月、母方の祖父が家にやってきた。齢88になる祖父に、私が青年海外協力隊に 参加をすることを告げると、顔が綻び、 『いやぁ、お前もお国の為に尽くすのか、いいこと だ』と、話し始めた。 今まで聞いても語らなかった祖父の戦争の話だった。 祖父の家には『シベリア抑留者名簿』なる分厚い本があり、海部総理から戴いた賞状が飾 られていた。 高校生の時に、何気にこの話を聞いたことがあったが、無視されたので嬉しかった。 その後、色々あって、戦争廃墟マニアになってしまう私は、日本各地の戦跡を訪れる度、 人に戦時中のことを聞くのであるが、皆、語ろうとはしなかった。 熱心に語る人々といえば、みな赤い看板を背負い、左に翼の生えた人たちばかり。そうい えば、戦争に実際に行った人の話を聞く機会なんてなかったっけ……。 |
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旧・満州に再度行きたいという祖父のため、写真を撮るため中国に渡った著者・りりあさん。 だが、言葉もほとんど通じない・観光地化されていない土地なせいか、その旅は過酷です。 ざっと一例を挙げると……。 ・トイレにドアがない! ・銀行で両替をしようと試みるとポカンとされる。あとで偉いさんたちが出てくるが、紙幣をコピー(犯罪)したりする。 ・スーパーに行くと、万引き対策でバッグを鍵付き袋に入れられる。当然会計時にもめることになる。 ・掃除されていないホテル。 ・突然繋がらなくなるネット。(友人が余計な言葉を書いたせいかも、と疑心暗鬼に陥るりりあさん) とくにいろんな場所で「汚ぇ!」と明記されているとおり、中国の衛生状態はかなりのもののようです。 乗り換えのため訪れた韓国の空港で、清潔さに感動してトイレの個室を激写してしまうのもやむをえないかと思われます……。 (のちに、そんな精神状態ってどうよ、と冷静になっています) そんな中、道を聞いただけなのに案内をしてくれる三兄弟に出会い、帰りはその母親が迎えに来てくれるというエピソードが挟まっていたのは僥倖でしょう。中国人民は優しいのだ、としんみりきます。 りりあさんの軽くてツッコミ多めの文章が、悲惨な旅を笑いに変換してくれます。 写真も数多く収録されており、田舎の中国の実情を知るには、あるいはとんでもない旅行体験をした人の実録をみるためには必見の書でしょう。 | ||
推薦者 | きよにゃ |