「お暇を下さい」 と濁点はいった。「田舎の母が心配なのです」 私たちはホームで別れの握手を交わした。 汽車が遠ざかるにつれて、私の中から濁った音が抜けていく。 ほろほろこほれたなみたと共に、私のことははぬけからになった。 悲しいけれとほっとした。 さようならは綺麗にいえた。