出店者名 新天使出版会(ヤミークラブ)
タイトル 零点振動2
著者 宇野寧湖
価格 100円
ジャンル 大衆小説
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紹介文
A5表紙モノクロ、本文モノクロ20頁、オンデマンド印刷。

精神科医の槇が捜査チームに加わることになった。相変わらずぎこちない羽鳥は、少しずつ接近していくが…… 一方、事件は謎を深めるばかり。ちらつく狙撃者の影?この事件はもしかして捜査員たちをおびき出す罠なのかもしれない……

【長めの本文サンプル】 http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=6482767

【サンプル】

 水曜日は激しく雨が降っていた。羽鳥(はとり)は警視庁捜査一課特殊捜査班の会議に出席していた。仲代班長と捜査員四名のいつものメンバーに、司法精神医学研究センターの槇(まき)が加わっただけで、会議室は緊張した雰囲気に包まれる。先輩刑事の藤波がホワイトボードに手際よく被疑者の写真を貼り付けていた。
「〈震える男〉の事件に関係あると考えられる被疑者八名です。二十代から六十代の男性。職業、年齢に共通項はありません。違法薬物を使用していますが、入手場所も不明。全員が逮捕の直前に、〈震えろ!〉と叫んで、奥歯に仕掛けた毒物を用いて自死しています。取り調べもできませんので、追加の情報は得られていません」
 スナップ写真は、小綺麗な男もいれば、無精髭が伸びて身なりが悪い者もいる。印象としてはかれらの属性はバラバラに見えた。藤波は、その中でスーツを着た垂れ目の気弱そうな男の写真を指差す。
「古屋、三十六歳。鞠小路女子高等学校の英語教師です。先日のハナマチ薬局立てこもり事件を引き起こしたのがこの男で、現在、交友関係を洗い出しています」
 仲代は「一連の事件は偶発的に重なっているという可能性はないか?」と尋ねる。藤波は肩をすくめて言った。