出店者名 バイロン本社
タイトル 美形と鼻血アンソロジー「美形点睛」
著者 青波零也・泡野瑤子・オカワダアキナ・黄鱗きいろ・丹羽夏子・宮田秩早・ZARI
価格 700円
ジャンル そのほか
ツイートする
紹介文
『美形点睛』(びけいてんせい)は、「美形が鼻血を出す」お話を集めた一次創作文芸アンソロジーです。
まるで冗談みたいなお題ですが、現代・SF・ファンタジーとバラエティ豊かな作品が揃い、執筆陣の個性が輝く面白い本になりました。
六者六様の美形と鼻血、どうぞお楽しみください。

A5/本文88ページ/オンデマンド印刷

【主宰】
泡野瑤子

【執筆者・掲載順】
オカワダアキナ「夜明け顔」
青波零也「未来視の対価」
宮田秩早「イシュカ王と魔法の姫」
黄鱗きいろ「生首ダイバー」
丹羽夏子「汝、怒れる者よ、泥中で王冠を取れ」
泡野瑤子「選ばれし者の帰還」

【装画】
ZARI

【発行協力】
黄鱗きいろ

専用Tumblrから各話試し読みができます。
https://goo.gl/Lyy9z1

 ことが終わったあと、絹の敷布に散った四の妃がまごうことなく生娘であった証を愛でつつ、長々と妃の唇を味わい満ち足りた王は、おのれの鼻に違和感を覚えた。
 熱いものが鼻からしたたり落ち、組み敷いた妃の唇の端を、白い胸を、紅く彩る。
「四の妃よ、余は何故鼻から血を流しているのだろう?」
 困惑し、身を離して座り込んだ王に、妃は、おのれの唇の端に落ちた血を、可愛らしい舌でちろりと舐めとったあと、なよやかに王の肩に腕を巻き付けて、夫の鼻に唇を寄せた。
「鼻からの血は、気持ちが昂じたとき、時折、出るものです。いずれ止まりましょうが、そのままでは気持ちが悪うございましょう? わたくしが綺麗にして差し上げます」
 そう言った四の妃の黒曜石の瞳には、幽かに紅の輝きが宿り、王の血を味わった舌先は蛇のように妖しく、艶めかしく見えた。
 四の妃は王の鼻から流れ落ちる血を、ちゅ、と啜り、血に濡れる唇に舌を這わせ、夫の胸に、腹に流れ落ちていた血を丹念に舐めとった。


(宮田秩早「イシュカ王と魔法の姫」より鼻血のシーン)
他作のお試し読みは紹介文のリンクをご参照ください。


性癖だけに留まらない濃密な6編
ジャンルを問わず、たくさんの同人アンソロジーが発行されるこの時代にあって、もうなんて言うか、コンセプトの勝利だと思います。
ニッチ!そして、ドツボのテーマでなくとも興味を抱かせる「あー何となくわかる」感と執筆陣。
作風を知っている方が多く参加されていることもあり、とても楽しみにしていました。

それぞれの作者さんならではの作品で、どれも切り口は違えど「美形と鼻血」とともに描かれるテーマが鮮やかです。身も蓋もないことを書くと「美形が鼻血出してるだけとちゃいますよ」と。
それらを纏めあげるZARIさんの美麗表紙も必見です。

全作へのふんわり感想は個人ブログに掲載しています。ご参考まで。
http://bluegray.self.jp/2018/08/14/bikeitensei/
推薦者凪野基