|
|||||||||||||||||
「本当ですか? 正直に仰ってください。婚約破談についてのお話だったのでは?」 |
| ||
男と女の恋愛以外の、あるいは恋愛に至らない駆け引きを描くアンソロジー。 またニッチなところを……と思うわけですが、でも、意外に多いと思うんですよ。 男女の恋愛以外の物語を読みたい方。 私は藍間さんの作った特設ページの広告見て飛びつきましたよ。 (特設サイト)http://indigo.mints.ne.jp/stalemate/ 「灰色のレイニー」 過去に家族のような関係にあった男と女。 女にとっては父親とともにあったなかば悪夢のような存在が、ふたたび現れたとき……自身の自由を賭けた駆け引きの幕が開く。 「北の森に梟が鳴く」 外交使節の長は女だった。国家の交渉の場では見くびられがちな女と、使節に面会した十八番目の王子の思惑が産んだ密かな駆け引きが国を変えてゆく…… 「ラブラドライトの献身」 近未来SF。地域開発にかかわるきな臭さ。果たして、警察内部の内通者とは転籍してきた彼なのか。それとも…… 「スケジュール・パズル」 システム開発の現場。過密なスケジュール、修正、バグ……家に帰りたい。休みたい。でも帰れない……互いに事情のある開発部のふたりの、不和と共闘の物語。 「青髯に捧げる狂詩曲」 楽器の女と楽器に魅入られた男の歪んだ関係の行方は。互いの「終わり」を見詰め、なにかを残そうとする駆け引きの物語。 「(RE)START」 家族を失い、「物語」を失った童話作家に訪れた転機。あたらしく担当になった女性は、作家にかつての物語の続きを書いて欲しいと要望するが…… 「色効かし」 その才能を見込まれて社長の結婚することになった染織家。 社長に忠誠を誓う青年は、海のものとも山のものともしれないその染織家の人柄を品定めするために彼女の住む家に会いに行くが。 どの物語にも、甘えを許さない厳しい駆け引きの似合う、自分の人生にたいしてすっくりと立ち上がった格好いい男女がいます。 | ||
推薦者 | 宮田 秩早 |