出店者名 弥乙澪
タイトル 文芸バレーボール 中
著者 弥乙澪
価格 1,500
ジャンル 大衆小説
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紹介文
2113年3月15日、全国大会初日。新古今高校、歌仙高校、聖コトバ学院、日本再生大学付属高等学校、万葉高校、そして唄唄い高校他、更なる脅威も? 2100年代日本を舞台に繰り広げられる新感覚スポーツコント、待望の続編。あなたは文芸、好きですか。

 待ちに待った全国大会が始まる。学校から最寄りの駅前に私服で集まり、六人全員で現地に向かう約束だ。朝七時四十分。俺は濃藍のジーパンに、モノクロの絵が中央に大きくプリントされている白いシャツと、シンプルな赤いダウンジャケットで駅前広場の噴水のところに仁王立ちしていた。腕時計を見てから寒空を見る。
「だから早く着きすぎないかって言ったのに」
 かたわらのソウルが笑う。いつものように途中で誘い一緒に来たのだ。ソウルの私服は性格の体現のように落ち着いている。臙脂のジーパンに緑のチェックシャツ、栗色のダッフルコート。スポーツをやるやつにはとても見えない。右手には梶井基次郎の檸檬を装備。
「だってキャプテンは一番乗りに着いとくものだろ」
 豪語して胸を張ると、幼なじみは朗らかに苦笑いを返した。
「そうかもしれないけど、二十分前は早すぎ早すぎ」
「でもこういう時、ヒイロがいつも十分前には来てるじゃねえか。間違いなく先を超すには二十分前なんだよ。だろ? だよな?」
「うん。わかった。巻き込まれた俺の気持ちを、三文字で答えよ」
 目をこすり、ソウルは小さく欠伸する。
「ねむい」「正解」「ごめんて」
 しばらくすると噂のヒーローが現れ、渋い顔をしながら近寄ってきた。
「ちっ、ずいぶん早いな」
 別にそこまで競っていたつもりはないが、ヒイロが悔しげなので少し嬉しい。
「ああ、俺たちは二十分前から待機していたが、遅かったな副キャプテン」
「池原おはよう。一番乗りじゃないなんて、初じゃないか。寝坊した?」
 二人で満面の笑みで畳みかける。ヒイロは切れ長の瞳を伏せ、面倒そうにため息をつく。 
「今回ばかりは、小野と山ノ内が早すぎだ。俺が遅刻したみたいな言い方やめろ」
 やつは黒の長袖Tシャツに白のジーパンという格好で、寒そうに袖を逐一ひっぱっていた。白いマフラーを雑に一重で巻き、グレーのガウンを羽織っている。モノトーンが異常に似合う。
で、五分前には後輩二人が揃って来た。
「ふえええーっ、もう集まってるじゃないですかあっ」
「たはは、先輩方、気合い入りすぎっしょ。はざーっす」




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