「ねえ、エロい顔見せてよ」 「や」 「かわいいのに」 「恥ずか、しい」 「もっと恥ずかしいことしてあげる。ベッドどこかなー」 芯を抜かれていた。手を引かれる繭子は、脚をもつれさせずにいるので精一杯だった。 「待って、シャワー」 「今はダメ」 「どうして?」 「いい匂いだから」 「恥ずかしい」 「恥ずかしいことするの? して欲しいの?」 裸の繭子をベッドに座らせ、松本も服を脱ぎにかかる。カーディガンのボタンを外しながら、からかいの言葉を向けた。 「やーらーしー」 繭子は手と脚で裸を隠すように、丸くなった。 「意地悪言うのが好きなんですか?」 松本はプラム色のカーディガンをソファの肘掛けにやわらかくかけ、ネクタイをほどく。 「言うだけじゃなくてね、意地悪なの。シャワー行けないようにしてあげる」 バニラホワイトのシャツと深いバジルグリーンのパンツは身に着けたままで、繭子の両手首を首の後ろに回した。ネクタイで適当に結んでみる。どうすれば痛くないのかほどけないのか、縛り方なんか知らないが、構造を考えればおおよその見当はつく。美大で何やっていたのかを察しろ。
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