出店者名 夜間飛行惑星
タイトル 【R18】君とデートをしてみたい。
著者 実駒
価格 500円
ジャンル JUNE
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紹介文
2015/10/18  J.GARDEN39発行 B6/48ページ
創作BL小説。※R18
主人公のフリーターが、そういうお店でそういうサービスをしてくれる彼に一目惚れしてしまって、あれこれ空回りしたりぐずぐず悩んだり、紆余曲折あって「友だち」になるまでのお話です。

サンプル(6500字)
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5924005

(冒頭一部抜粋)
 思えば長い道のりではあった。自分の性的な興味が同性を指向していることに気がついたのが中学生のころ、それを悟られないよう異性に興味があるフリをしていた高校時代、そうした振る舞いに疲れて人付き合いを避けていた専門学校時代を経て、在宅で仕事をするようになった今、祥はほぼ引きこもって暮らしている。
 当然、出会いがあるはずもなく、このまま一生を孤独に過ごして童貞のまま人生を終えるのか……と思っていた矢先にインターネットで偶然に目にしたのが、ゲイ男性向け風俗店の広告だった。
 おそるおそる開いてみたトップページにはカラフルなバナーが点滅し、下着姿でポーズを取る男たちの写真があふれていた。めまいがしそうになりながらも、「初めてご利用されるお客さまへ」と書かれたページを読み進む。システム自体は至って明快で、好みのボーイを選んで個室を予約し、利用料を支払えば性的なサービスが受けられる。サービスの内容を事前に指定できるコースもあるし、店舗でボーイに会ってみてから選ぶことも可能らしい。
 自宅からいちばん近い店舗の案内をクリックして、ボーイの一覧を眺めてみる。写真だけではピンとこない。まずは店舗に出向いてみるほうがいいのだろうか……メールフォームをクリックしてみる。「プレイに関する要望があればご記入ください」という記載にぎょっとしてページを閉じてしまって、もういちど開き直す。動悸が苦しい。
 どうにか必要事項の入力を終えるまでに、三十分は費した。冷や汗で背中がびっしょりと濡れている。こんな状態で、他人と会って会話をして、あまつさえ性的な行為に及ぶことなどできるのだろうか……不安しか感じない。
 ああ、けれど、これを乗り越えることができなければ、自分はほんとうに、いちどもそういう体験を得ないままの一生を過ごすことになる。それは、あまりにむなしい気がした。相手にとっては仕事だとしても、せめて生涯にいちどくらいは、人肌のぬくもりを味わってみたい。
 祈るような気持ちで、祥は送信ボタンを押した。


店員さんと現実世界で信頼関係を築くには!?
 自分の性的嗜好が同性だと気付き、一世一代の覚悟で男性向け風俗店に来た在宅勤務の祥(しょう)。
 そこでコウという青年にサービスされる立場になり、リードの巧みなコウに惹かれていく。次回必ず店に行くと約束していたある雨の日、コウが同級生らしき若者とはしゃいでいる姿を目撃してしまう。
 自分の知らない、コウの学生らしい姿を見て、祥は「自分は知り合いですらない」と落ち込んでしまう。いっそのこと、店で働いていないコウを見ればあきらめられるのではないかと思い至り、コウの通う大学で確かめようとするが、そこでコウに見つかってしまい──。

 とても読みやすい文章で、文字がすっと頭に入ってきます。
以前、実駒さんの小説を読んだ時にも感じたのですが、「人に読ませる」ということを前提に作られている文章・お話だなぁ、と思いました。

 冒頭からはじまるラブシーン(Hシーン)はサービスたっぷり。
 その後、コウのことをなにも知らないけれど、あれこれ想像して幸せな時間を過ごすところから、コウの普段の学生の姿をみて疎外感を覚えるシーンの落差が大きいです。
コウといい雰囲気になり、夢を見ていたのにいきなり「ただの客と店員」だった自分たちの現実を突きつけられてショックを受けるところ、とても共感しました。お話が上手な職業のひと(美容師さんなど)と話すと、私も錯覚しますから。
祥が「コウと友達になりたかった」と自覚するまで、長い道のりだったなぁ、と思いました。
 全部読んで見ると祥はダメダメですが、まっすぐで応援したくなるキャラ、(もちろん、コウも必死だった、と後でわかります)世間に出ていないせいなのか、孤独で懸命に愛・友情をほしがる祥を応援したくなります。
 体のつきあいから始まる友情というのもあり!?なエンドですし、コウが乗り気なのところが、BL好きとしては嬉しいです。

 この二人の行く先が、幸せなものでありますように!
推薦者きよにゃ