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クレオールは空を見ていた。 |
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見晴らしの良い草原に薬屋はある。 そこに、様々な悩みを抱えた人々が立ち寄る。 クレオールは彼らの話に耳を傾け、悩みの本質を感じとり、世にひとつしかない薬をつくるお話。 不思議な世界観にひきこまれます。 しかし、重要なのはやはり、クレオールは一人で薬をつくるわけではない、というところでしょうか。 空の欠片を空から取ってきてくれる、「空集め」が必要なのです。 空の欠片を毎日のように持ってきてくれるのは、翼の生えた「空集め」の青年。 当たり前のように、日々、空集めから空の欠片が供給されます。 クレオールと空集めの青年は、仕事の話も、たわいのない会話もします。 だけど、読者はだんだん気になり始めるのです。どうして空集めは、空を集めているのだろう、と。 当たり前の光景に、ふと疑問を抱く。その誘導がとても絶妙で、引きこまれるまま一気に読みきってしまいました。 オンとオフでギャップがあるクレオールの性格も魅力的ですし、 ぶつくさ文句を言いながらも、クレオールを気遣う空集めの青年も良いです。 元々私は、空が好きで、それでこの本を手に取ったのですが、 空を好きだと言ってくれる二人のことも好きになっていました。 やはり圧巻は、エンディングにあります! 気に入りました。 二人の友情に、幸あれ。 | ||
推薦者 | 新島みのる |