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おなじ景色をみせつづけるな。 竜と人との契約の、この文言の力に圧倒され、この文言の書かれている作品序盤で、私はもうすっかり物語の虜になった。 感情に関する単語がほとんど使われない文章で紡がれていく物語であるのに、そこには確かに感情が迸っていて、物語の展開にどきどきするのと同時にこの表現の上手さにも興奮させられます。 この一冊は四編の短編でつくられていますが、私はその中の「熱砂に伏して」が一番好きです。 若き竜と、飛行機の物語。 ここには、直接的な愛の言葉も愛の理由も書かれてはいないのに、とてつもなく深い深い「執着」が描かれています。 誰に理解されることも求めない姿勢が砂漠の砂のように熱く気高く吹き荒れていて、私にはこれこそが「愛の理想」に思えました。 何度も読み返したい、お気に入りの一冊です。 | ||
タイトル | はだしの竜騎士 | |
著者 | 孤伏澤つたゐ | |
価格 | 400円 | |
ジャンル | JUNE | |
詳細 | 書籍情報 |
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咲祈さんの物語はどれも好きですが、私がその中でも特にこの『匣の街』を好むのは、この物語が「上へ行こうとする力」に満ちているからだと思います。 地下で、闇を縫うようにして暮らす登場人物たちの、嘆きや苦しみ、そして明日への思いを、濡れた手で必死に汲み取っていくような文章とストーリー展開は、胸を熱くさせてくれます。 どうやら、紙媒体での頒布はそろそろ終わってしまうとのうわさを聞きました。 どうぞ是非、手に取ってみてください。 | ||
タイトル | 匣ノ街 | |
著者 | 咲祈 | |
価格 | 400円 | |
ジャンル | ファンタジー | |
詳細 | 書籍情報 |